国家間で絶滅のおそれがある野生動植物の過度な国際取引を防ぐための条約が1973年3月3日にアメリカ・ワシントンD.C.において採択され、日本は1980年に、タイ王国は1983年にそれぞれ同条約を締結しています。

上記の国際条約は通称ワシントン条約と呼ばれ、英語表記では

the Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora

と表記され、それぞれの頭文字を取りCITESと呼ばれています。

■目次

タイ仕入れにおける規制対象種

タイ仕入れにおきましては、ワシントン条約に該当する規制対象種は主に下記のような動物が該当します。

  • シャムワニ
  • パイソン
  • オーストリッチ
  • リザード

日本における輸入承認

規制すべき種別の動物を外国から日本国内に持ち込む(輸入する)際には、日本の管理当局に輸入承認や事前確認を必要とされています。

管理当局経済産業省海からの持ち込みを除く(一般的な輸出入)
農林水産省海からの持ち込みに限る
科学当局農林水産省植物及び主な水棲動物
環境省陸上動物
引用元:環境省

それぞれの管轄省の役割は下記の通りとなっています。

管理当局:輸出入許可書又は証明書を発給する権限を有する機関
科学当局:種の存続の観点から輸出入に関して管理当局に助言を行う機関

タイ仕入れにおける規制動物は、基本的には「海からの持ち込みを除く」種別なので、経済産業省が輸入許可を発行する管轄機関となります。

CITESの付属書

区分附属書Ⅰ附属書Ⅱ附属書Ⅲ
記載基準絶滅のおそれが高く、取引による影響を受けているか受ける可能性があるため、取引を特に厳重に規制する必要のある種現在は必ずしも絶滅のおそれはないが、取引を厳重に規制しなければ絶滅のおそれのある種締約国が自国内での保護のため、他の締約国の協力を必要とする種
規制内容・商業目的のための国際取引を原則禁止
・学術目的等の取引は可能
・輸出国・輸入国双方の政府の発行する許可証が必要
※商業目的のため人工繁殖させた種別は輸出入許可書があれば取引可能
・商業目的の取引は可能
・輸出国政府の発行する輸出許可書等が必要
・商業目的の取引は可能
・輸出国政府の発行する輸出許可書又は原産地証明書等が必要
タイ製品クロコダイル(シャムワニ)パイソン
リザード
オーストリッチ
引用元:経済産業省 ワシントン条約について

それぞれ、クロコダイルとパイソンが動物界の附属書に記載がされていますので下記にご紹介します。
下記画像の左から順に「附属書Ⅰ」、「附属書Ⅱ」、「附属書Ⅲ」と区分されています。

附属書は改定され続けていまして、2022年8月1日時点では2022年6月22日版が最新版となっています。
動物界の附属書はこちらからでも確認が出来ますので、ご参考にして下さい。
動物界の附属書

輸入承認申請書(書き方)

ご注意下さい!

輸入承認申請書は必ず両面印刷 2部(2枚)ご用意頂く必要がありますので、ご注意下さい。

具体的な記入例は下記の通りです。

2022年8月1日現在、関税率表の番号等の記入は不要です。

記載項目は下記の通りです。

  • 申請者の氏名または名称及び代表者の氏名
  • 住所⇨申請者の住所
  • 電話番号⇨申請者の電話番号
  • 資格⇨代表取締役代表社員など(法人の場合のみ記載。個人の場合は不要)
  • 申請年月日⇨申請する日付
  • 関税率表の番号等⇨斜線を引く(記載は不要です)
  • 2. 商品名⇨ハンドバッグ財布など(商品の形状による)
  • 3. 型及び銘柄⇨D(タイで発行されるCITESに記載されているソースコードを記載)
  • 4. 原産地⇨タイランド(Thailand)
  • 5. 船積地域⇨タイランド(Thailand)
  • 数量及び単位(金額)⇨2 no.(輸入される数量「例:2個の場合」)
  • 総額(US$)⇨記載は不要

輸入承認申請書及び記入例は下記経済産業省のHPよりダウンロードが可能です。

輸入承認申請書と記入例

輸入承認申請説明書(書き方)

上記の書類を例とし、下記の通り記載項目をご説明致します。

  • 申請者(輸入者)⇨クロコダイル革製品を輸入されるご自身となります。
  • 輸入の目的等⇨国内販売のため
  • 輸出者:氏名又は企業名⇨CITES原本のPermiteeの欄に記載の輸出者名(緑色の枠内)
  • 輸出者:氏住所及び連絡先⇨CITES原本のPermiteeの欄に記載の輸出者の住所と電話番号(緑色の枠内)
  • 輸出者:輸出する国又は地域⇨Thailand
  • 動物又は植物の名称⇨(学術名)Crocodylus siamensis/ (一般名)シャムワニ
  • 輸入時点の貨物の状態等⇨死に○/ (貨物名)財布/ (数量及び単位)2 no.
  • 出所の区分⇨繁殖を囲む
  • 輸出許可書・再輸出証明書⇨(発行国)Thailand/ (発行日)CITES原本の赤い枠内にある日付/ (許可書・証明書番号)CITES原本の上部青い枠内にある英数字/ (原産地)Thailand
  • 販売(引渡)先⇨記載不要

また、下記は輸入承認申請説明書に記載する必要はありませんが、CITES原本に記載されている情報としてご注意下さい。

  • 有効期限⇨CITES発行日からおよそ6ヶ月でCITESの有効期限が切れてしまいますので、タイからは早めに発送する必要があります。
  • ソースコード⇨CITES原本にソースコードの記載がありますので、そちらの情報を輸入承認申請書へ記載します。

輸入承認申請説明書及び記入例は下記経済産業省のHPよりダウンロードが可能です。

輸入承認申請説明書と記入例

日本へ輸入までの流れ

ご注意事項

タイのシャムワニから製作されたクロコダイル革製品を日本へ問題なく輸入させるには、買い付けの時点から注意する必要があります。

タイの法律により、商品を買い付けたお店や工場が発行するCITES発行用の書類を元にCITESを発行するので、後から商品などの変更は認められていません。
具体的には、下記の通りです。

■ 一度買い付けたクロコダイル革製品の変更は出来かねます。
例えば、
財布を買い付けた後でハンドバックに変更したい、
赤い財布を買ったけど青い財布に変更したい、
数量を変更したい、など。

■ 発送方法の変更も後からは出来かねます。
例えば、
航空便で日本へ発送するつもりだったが船便で発送したい、
航空便で日本へ発送するつもりだったが、ハンドキャリーで持って帰りたい、
ハンドキャリーで日本まで持ち帰るつもりだったが、やっぱり国際発送に変更したい、など。
※ハンドキャリーの場合は、ハンドキャリー用のCITESを発行する必要があります。
ハンドキャリー用CITESの詳細はこちらから

① タイでクロコダイル革製品の買い付け
上記注意事項でご説明した事項にご注意の上、買い付け希望のクロコダイル革製品の詳細やサンプル画像などをチャットワークから担当者までご指示頂きます。

担当者は、クロコダイル革製品のお店や工場からご希望に最も近い商品を聞き出し、商品画像や詳細をチャットワークにて会員様へご案内致します。

後から変更が出来ませんので、この時点でご納得されるまでよくご確認下さい。
ご納得されたら、商品代金を当社までご入金を頂きます。その後当社よりお店や工場へ商品代金をお支払い致します。

買い付けたクロコダイル革製品を対象に、1枚のCITES発行が可能になります。
1枚のCITESでクロコダイル革製品の個数に制限はありません。何個でも1枚のCITESで日本への輸入が可能ですので、多ければ多いほどCITES発行手数料のコストを抑えること出来ます。

※ただし、日本への輸入通関の時点で課税価額が日本円で20万円以下であれば日タイ経済連携協定で定められたEPA特恵税率の適用が可能なので、一回の買い付けで4万バーツ程に抑えることをオススメしております。詳しくはお問い合わせ下さいませ。
② CITES発行手続き(当社対応)
買い付けた工場やお店からCITES発行に必要な書類を受け取り、当社にて漁業局へCITES発行申請手続きを進めます。
CITES発行まで、通常ですと4週間程で発行は出来ますが、コロナの影響で漁業局の職員が在宅勤務をしている場合などは2ヶ月程お時間が掛かる場合があります。
CITES発行手数料は、下記の通りとなります。

CITES発行手数料:1,300バーツ/1枚
(内訳)
CITES発行手数料実費:1,000バーツ
BI-999(DHL)フォーム:300バーツ
※BI-999フォームとは、日本への輸入通関の際に必要な書類となります。
③ 輸入承認申請書の記載(会員様ご対応)
チャットワークからタイで発行されたCITESの画像をお送り致しますので、そちらの情報を元に会員様ご自身が輸入承認申請書及び輸入承認申請説明書の記載を進めて頂きます。
各様式のダウンロードは下記より可能です。
輸入承認申請書及び輸入承認申請説明書
書き方はそれぞれ下記をご参考にして下さい。
輸入承認申請書(書き方)
輸入承認申請説明書(書き方)
④ 必要書類を経済産業省へ発送(会員様ご対応)
上記③で必要書類へのご記入が終わりましたら、下記必要書類をご準備の上経済産業省へ郵送で発送して頂きます。
・輸入承認申請書:原本2枚
・輸入承認申請説明書:原本2枚
・CITES:原本のコピー2枚
・当社発行の輸出インボイス:原本のコピー1枚

※CITES及び輸出インボイスは、チャットワークよりPDFファイルなどでお送り致しますので、お手元でプリントアウトしてご用意頂きますようお願い致します。

送り先は下記の通りです。
経済産業省 貿易経済協力局 貿易管理部野生動植物貿易審査室 審査班
(又は、経済産業省 貿易局 ワシントン室審査班)
〒100-8901 千代田区霞が関1-3-1

《発送方法》
発送方法は、郵便局のレターパックが推奨されています。
輸入承認申請書は承認番号などが押印された後に1〜2週間程で返送されますので、ご自分用の返送分レターパックにご自分宛の住所・氏名などをお書きの上、上記必要書類と一緒にレターパックへ入れて経済産業省へ発送します。
詳しくは、こちらの経済産業省の申請窓口をご参考にして下さい。
⑤ 輸入承認申請書をスキャンして頂き当社へお送り下さい(会員様ご対応)
輸入承認申請書がお手元まで送り返されましたら、輸入承認申請書をスキャンして頂き当社へPDFファイルとしてチャットワークからお送り下さい。
書類のスキャン方法が分からない場合は、お近くのセブンイレブンからスキャンが可能ですので是非ご利用下さいませ。
セブンイレブンでのスキャンの方法はこちらから
⑦ タイからクロコダイル革製品と輸出書類の発送(会員様及び当社対応)
チャットワークで輸入承認申請書を確認した後、国際配送料金・輸入消費税・輸入関税分のご入金を当社までお振込頂きます。

国際配送料金・輸入消費税・輸入関税は商品梱包後にご案内差し上げます。

上記金額のご入金を確認後に、配送業者に集荷依頼を掛けクロコダイル革製品とCITES原本及びコピー、コマーシャルインボイス、AWBなどの輸出書類を配送業者へ引き渡しタイから日本に向けて発送致します。
⑧ クロコダイル革製品が日本へ到着した後(会員様ご対応)
クロコダイル革製品が日本へ到着した後、配送業者から輸入通関のため輸入承認申請書の原本をお送り頂くよう電話でご連絡がありますので、配送業者指定のご住所まで発送をお願いします。

その際も、輸入通関後に輸入承認申請書がご自分へ返送されますので、ご自分宛の返送分としてレターパックなどと一緒に輸入承認申請書の原本を配送業者の指定住所へ発送して頂く必要が御座います。

※輸入承認申請書は、通関後はクロコダイル革製品と一緒にご自分の住所へ配達されませんので、別途返送用レターパックなどでのご返却となります。
⑨ 輸入通関後にお手元までお届け
輸入通関が無事に通れば、配送業者によりお手元までクロコダイル革製品が届けられますので、以上でクロコダイル革製品のお取引は終了となります。

発送用CITESとツーリスト(観光)CITESについて

クロコダイル革製品を買い付けの時点で、ハンドキャリーで日本へ持ち帰るという指定をして頂ければ、ハンドキャリー用のCITESとして、いわゆるツーリスト(観光)CITESの発行が可能です。

CITESの種類国際発送用CITESハンドキャリー用(観光)CITES
日本へ持ち込める個数制限なし4個まで
クロコダイル革製品に係る発送費用1,300バーツ200バーツ
タイでCITES発行に掛かる期間2〜4週間1週間程度
日本の経済産業省への輸入承認必要必要
輸入承認期間1〜2週間1〜2週間

一般的にツーリストCITESと呼ばれる、タイのお店などで発行される観光用CITESの種類ですが、日本の経済産業省のワシントン室へ問い合わせても、タイで発行されるCITESの種類までは把握はされておりません。

ツーリストCITESとは、観光客がタイ現地でクロコダイル革製品を購入した際に、ハンドキャリーでクロコダイル革製品を持ち帰れるように、タイ国を出国する際に通関手続きをする必要がなく且つ税金の掛からないCITESとして簡易的に発行されるCITESは存在します。

しかし、日本へ帰国時に附属書Ⅰに該当するクロコダイル革製品をハンドキャリーで持ち帰る際には、ツーリストCITESなどのCITESの種類に関係なく輸入承認申請する必要がありますので、タイでクロコダイル革製品を購入してからハンドキャリー用の(いわゆるツーリスト)CITESの発行完了を待ち、CITESが発行されてから日本の輸入承認手続きを進める必要がありまして、その期間はタイに滞在している必要があります。

ご注意事項

■ ハンドキャリーでクロコダイル革製品を持ち帰りたい場合は、クロコダイル革製品を買い付けの時点でご指定頂く必要があります。

■ 一度ハンドキャリーをご指定頂いた場合は、タイの法律により後からの変更は出来かねます。

■ ハンドキャリーで日本まで持ち帰るには、タイでCITES発行完了後、日本の輸入承認手続きが完了するまでタイに滞在している必要があります。

日本のお土産制度について

よく、ワニ革製品はお土産品として4個までなら輸出入許可の取得と取らなくても日本へ持ち帰れるという話を聞かれることがあるかと思いますが、お土産制度はあくまでも附属書Ⅱに該当する種別の製品のみに限定されているので、タイのクロコダイル革製品の代表種別である附属書Ⅰのシャムワニ革製品は必ず輸出入許可申請手続きが必要となってきます。

また、タイはお土産制度の特例制度の採用していないと記載されていますので、ご注意下さい。